2012年5月16日水曜日

急性期脳卒中患者に対する積極的な経口摂取訓練は肺炎の発症を減少させる

Interventions for dysphagia reduce the incidence of chest infection  in patients with acute stroke.


肺炎に対する予防的抗生剤投与の話をとも思ったのですが、その前にこちら。


急性期脳卒中患者に対する積極的な経口摂取訓練は嚥下機能の改善に有効か?


一つだけRCTがあります。


Carnaby G, Hankey GJ, Pizzi J.
Lancet Neurol. 2006 Jan;5(1):31-7.

筆頭著者は有名なCarnaby(旧姓Mann)。今はアメリカにいますが、オーストラリア人で、研究が行われたのもオーストラリアの施設。やっぱりオーストラリア?

急性期脳卒中患者(大部分は脳梗塞)で嚥下障害のあるものに対する行動的介入の効果を見た単施設前向きランダム化比較試験。一次アウトカムは6ヶ月後の常食摂取と設定されていましたが、これにはコントロール群・介入群で優位差ありませんでした(表の第1列目。95%信頼区間が1をまたぐ。P値を計算してみるとP=0.065でした。)。

一方、肺炎発症(赤下線)については両群間に優位差があり、

急性期脳卒中患者に対する積極的な経口摂取訓練は肺炎の発症を減少させるようです。

ちなみに、手前味噌ですが、ボクの施設における後ろ向きの検討でも、急性期脳出血患者における発症当初からの積極的な口腔ケアと早期からの経口摂取開始は肺炎の発症を減少させるようです。



「あわてて食べさせるのは危ない!」というのはどうやら間違いのようで、「急いで食べるための介入を始めなければ危ない!」ようです。

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