2012年5月9日水曜日

Quality in Acute Stroke Care(QASC Trial)

Implementation of evidence-based treatment protocols to manage fever, hyperglycaemia, and swallowing dysfunction in acute stroke (QASC): a cluster randomised controlled trial



Middleton S, McElduff P, Ward J, Grimshaw JM, Dale S, D'Este C, Drury P, Griffiths R, Cheung NW, Quinn C, Evans M, Cadilhac D, Levi C; QASC Trialists Group.


Lancet. 2011 Nov 12;378(9804):1699-706. Epub 2011 Oct 11.


昨年のLancetに発表された、急性期の脳卒中専門病棟の患者を対象に入院90日後の転帰を単盲検クラスター無作為化比較試験で評価したオーストラリア発の論文の紹介です。発熱・血糖・嚥下障害の管理に関する科学的根拠に基づく治療プロトコルを事前配布した介入群(10施設)では、既存ガイドラインのみを配布した対照群(9施設)に比べ、患者が90日後に死亡または要介護(mRS≥2)となる割合が有意に低かったという結果です。

治療プロトコルは発熱・血糖・嚥下障害に関するオーストラリアのガイドラインNational Stroke Foundation. Clinical guidelines for stroke management 2010. Victoria: NSF, 2010.や、以下に示すものです。

・4時間おきの体温測定(72時間まで)、37.5℃以上でアセトアミノフェン投与。
・入院時採血で血糖測定、入院後は1-6時間おきの簡易血糖測定(72時間まで)、
  血糖値に応じてインスリン投与。
・発症24時間以内に、訓練を受けたナースによる嚥下スクリーニング。
  スクリーニングテスト不合格→専門的評価目的にST紹介。


発熱・血糖・嚥下障害に対するケアが看護師主導で行われています。






90日後の結果は、


Figure 3に示されているように、介入群に割り付けられた施設で治療を受けた患者さんたちの発症90日後のmRSはコントロール群と比較して明らかに良いようです。




当然の結果かもしれませんが、24時間以内に嚥下スクリーニングを受けた患者の割合にも介入群とコントロール群との間で大きな差(p<0.0001)が認められました。


死亡(mRS 6)もアメリカなどのデータと比較して少なく、日本の実情に近いように思いました。日本でもこれをやると急性期脳卒中専門病棟に入院する患者の予後は改善すると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿