ボクは脳血管内治療医なのですが、これまでの興味の中心は脳動脈瘤をどうやって上手にコイルで詰めるか、とか、閉塞した血管をどうやってうまく再開通させるかのみにとどまらず、そうやって治療を受けた患者さんたちが、治療の後にどれくらい楽に入院生活を送れるか、とか、どれくらい後遺症を少なくすることができるかということでした。(欲張り?)
その延長線上にあるのが昔から色んな病院でせっせとやってきた急性期(発症当初)から行う嚥下機能評価・経口摂取訓練なのですが、患者さんの立場にたってみれば、重症脳卒中後に命が助かったなら(助かってしまったら?)、その次はせめて意思疎通ができてゴハンが食べられるくらいにはなりたいんじゃないかなという思いがあるからです。ただ、ボクらがこれまでやってきた呼吸器感染に対する対策(誤嚥性肺炎対策)や嚥下訓練は、必ずしも呼吸器内科医が行う肺炎の治療ではないし、リハビリテーション医が行う嚥下リハとも少し異なっているようです。
そのようなわけで、
自分がこれまで興味を
少なくとも脳卒中そのものの本質的な治療だけではないし、
呼吸ケアだけでもないし、
嚥下リハビリテーションともちょっと違う、
栄養管理やクリパスにも興味あるし、、、
そこで浮かんできたのが「Acute Stroke Care」という言葉です。
Acute Stroke Care とは、救命病棟で行われているCritical Careの脳卒中版のイメージに近いと思います。でもSCU(stroke care unit)に入院する重症者
これらは、これまでの「脳卒中学」ではカバーできない領域なのではないかと思います。
今時の世間の流行は高齢化社会に向けた在宅医療・慢性期
SCU(stroke care unit)で行われる呼吸管理・栄養管理や早期離床に向けたリハビリ、
SU(stroke unit)が主体になるであろう早期退院に向けたクリティカルパスの
はたまた、脳卒中後の「良い看取りとは?」などなど、、
「脳卒中学」という病気や病因を主体とする学問や医学のあり方だけでは解決することができない、脳卒中患者をとりまく臨床上の様々な問題や社会的・倫理的問題を考えて行くうえで「脳卒中ケア学」みたいなのがこれからは必要なのではないかと思います。より良い脳卒中医療を目指して、みんなで意見交換していきましょう。
知り合
「脳卒中学」いいですね!
返信削除今回私の訪問で担当している方を“リハビリ効果? 自宅効果?”という内容でご紹介させていただきくコメントさせていただきます。
今回ご紹介させていただく方々は、当院で発症~回復期、そして自宅(訪問リハビリ)までフォローさせていただいている方で、2人とも発症時(意識レベルはⅠ桁程度)から重度の麻痺で退院直前(入院期間は回復期病棟までの入院期間限界まで)でも装具を装着しても立位保持も出来ず、ましてや自分で立つことも出来ない方々でした。
しかし、一人の方は訪問開始1ヶ月ぐらいから手すり(中等度介助)を使ってなんとか起立ができ、立位保持も数秒可能となり、現在(訪問開始4ヶ月程度)では、手の支持無しで起立が可能となり、立位保持は30秒以上が可能、しかも、立位状態からの膝の屈伸まで可能となっています。
もう一人の方は、訪問開始2回目以降に自分一人でベッドからポータブルトイレへ乗り移り、自分でズボンの上げ下ろしが可能となり、4回目以降には自分で2m程度歩いて移動されるようになりました。現在2ヶ月が経過しようとしていますが、装具なしで床へ自分座り、そして自分で立ち上がることが出来るようになっています。今後の目標は自分で歩いて自宅のトイレ、そしてお風呂を使えるようになれるようにリハビリを計画しています。
ほとんどの方が発症2ヶ月程度である程度の予後予測が可能ですが、時にはこの方々の様な回復する方もいらっしゃいます。この2人の回復はリハビリの効果!っと大きな声で言いたくもなりますが、でも、やはり一番大きな理由は自分の住み慣れた環境ならびに、ご家族の献身的な姿勢だと思います。
私自身不必要な入院はありえないと思いますが、でも長期的に回復する可能性のある方もいることを決して忘れてはいけないと思います。そしてただ単にリハビリの時間だけを増やすのではなく、リハビリの質も上げていくことが重要があると考えます。みなさんの周りにもこの様な長期的なスパンで回復された方いらっしゃいませんか??
Kazuさん、第一号のコメントありがとうございます。これからも宜しくお願いします。
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